屋根に乗っている雪の重さを考える。
2月に入り、今日は立春。
1月の大雪となり、何が何だかわからず、ペースがなかなか戻らないまま1月が終わっていきました。
気づけば雪もだいぶ落ち着き。
もうこれ以上大きく降らないことを祈ります。
延期していた工事もいよいよ今週から動きを見せ始めました。
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あっ!!
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昨年末完成した横曽根の家のオーナーさんより、
「引っ越して早々に雪下ろしするとは。。。」
と写真が送られてきました。
また、他のオーナーさんからは
雪下ろしした方がいい?
設定より多いけど家大丈夫?
と質問の連絡もそれぞれ頂いたり。
今日は雪と家についてお伝えしようと思います。
そもそも雪の重さはどれぐらいでしょう。
一坪(畳2枚)あたり、100cm積もった場合。
新雪だと165kg
湿った雪の場合1650kg
と、雪質の状況により大きく変わります。
雪の状況により10倍も重さ(密度)が変わってくるのですね。
新潟県の場合、構造計算する重さの基準が決められていて、
一坪1mあたり1000kg、すなわち1トンとして計算することが決められています。
新潟県で家を建てる時、構造計算時には屋根の上に、初場所沸かせていたパンの山こと明瀬山が5人と半分、畳2枚の上に乗っていることになります。
およそ力士6人分。
考えただけでも暑苦しそう(笑)
そんな重りを課せて家づくりしなくてはならない雪国は、雪のない地域の構造よりもハードルが高く設定されています。
耐震等級2、3を許容応力度計算する場合、ワンランク上の強さが求められているのです。
力士が屋根の上に乗ってくるのは冬だけの話なんですけどね。
これは屋根に雪が乗った状態で大きな地震が起こった時にも耐えうる状態にしなさいということ。
確率的にはかなり低そうですが、備えあれば憂いなし。
もちろん、冬季以外はより強い状態で臨めるので、より安全側で迎えることができます。
さらに、新潟県内でも雪の少ない地域、雪の多い地域の差が激しいので、各地域の積雪ごとに積雪の設定がされています。
上越市(旧上越市)では140cm
妙高市(旧新井市)では250cm
妙高高原では300cm
など、細かな地域設定。
雪深い地域は冬のために家の構造をより強くしておかなければなりません。
でもね、、、
上越市で140cmなんてそうそうないでしょ。
(今回の35年ぶり2m超えなんて超希です。)
普段は降ったなぁと思えて60cm程度。
100cm超えると数日は都市機能がストップします。
そこで、新潟県では積雪荷重の緩和措置として雪下ろし低減や自然落雪低減というのを設定しています。
この低減することにより積雪設定を100cmまで減らして構造計算することができます。
100cm超えたら雪下ろししてね。
というサインでもあるのですが。
(200cm超えるところは低減の下限が200cm。)
暮らしの工房では通常、上越市で設計する場合は100cm超えることも少ないので、この低減を用いて構造計算しています。
そして、
2階建なら耐震等級2(設計によっては耐震等級3にもなります)
平屋なら耐震等級3
というのが標準的な設定です。
(階数が少ないほど、耐震力に対して有利になります)
旧新井市では、1m以上降ることが頻繁に予想されるので地域設定をしっかり反映させながら、構造計算しています。
現在設計中の住まいは250cm設定で、平屋、耐震等級2です。
この積雪荷重で耐震等級3はなかなかハードルが高い。
積雪と、耐震等級と、自由な間取りは、整合性を取るのにはかなりバランス感覚が必要です。
ぜひ家づくりされる皆さんには、ほんのすこしでも設計は複雑に色々なことが絡んでいることを知っていただけると嬉しいです。
「雪が1m以上積もってるのだけど、雪下ろしした方がいい?」
「雪が1m以上あるけど、家潰れない?」
という質問。
1m以上積もったからといって家が雪で潰れる設定ではなくて、
積雪時に地震が起きても耐震性能が確保されていますよ。
という基準であることを伝え。
ただし、1m以上ある状態は、地震時には計算より不利になるよ。
とお応え。
降ろせる余白があるなら降ろしておいた方がいいですが、落下の危険性も十分考えられるからリスクの高い方で選択してください。
とお伝えしました。
でもさすがに、軒先やケラバ(屋根の横面)の屋根が飛び出している部分は折れないかヒヤヒヤものです。
雪は消えてしまうもの。
だけど雪国の家づくりでは、その雪が大きく影響します。
この地域ならではの設計の悩みかもしれませんが、バランスの良い家をつくっていきたいと考えています。
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