グラスウールは危険な断熱材というトンデモ情報。
- 2020-05-14
- 家づくり教室
先日、YouTubeをみていたら流れてきた住宅系の広告で、大きく誤解を与えてしまう内容をいかにももっともらしく伝えてしまっている内容が出てきたことにとても驚いた。
グラスウール系の断熱材は危ないから発泡ウレタン系の断熱材がいい。という昔流行った論争を今更持ち出しているもの。
1980年代におきたナミダダケ事件という北海道でおきた出来事を引き合いに出して、グラスウール系の断熱材は危険だ。というロジックで展開しているもの。
ナミダダケ事件とは、北海道の住宅で、北海道は当然寒いから断熱を高めるための試行錯誤の段階でグラスウールを通常の倍入れたことによって内部結露が発生してナミダダケ(木材腐朽菌)が発生してしまったということ。グラスウールは濡れると断熱性能が激減します。
この出来事によって、壁の中に湿気を入れない、冷たい空気を入れないという気密性能の重要性がわかり、高断熱化と高気密化を同時に考えるということが大切なことがわかったのです。
何事も先人の創意工夫と結果があり、次に繋がり進化していくものだと思います。
想いはつながっていくのです。(鬼滅の刃に娘とはまっているので。笑)
こういった経緯を、さも、グラスウールは危険でウチの使っている断熱材は安全というポジショントークに持っていく内容は、一般の人に大きな誤解と不利益を与えるため看過できないことだと思います。
この内容で住宅を説明しているところは、40年前から技術と知識が止まってしまっているところなのでは?と疑ってしまいます。
写真:グラスウールを充填して、防湿気密シートを張る現場。
話は少し変わりますが、我が家では(も)メディアの取り扱いが時々、頻繁に、議題に上がります。
「スマホが欲しい。。。」という小学生の望みと「まだ必要ない」という親の考え。
スマホは何に使うのか?と聞くと、お父さん、お母さんと連絡取りたい時に必要だとか、あれこれ理由があります。
まだまだ親を説得させるほどの理由がないので当然論破されてしまいますが(笑)
何より私が危惧することは、リテラシー不足の問題が大きい。
スマホは大変便利なもので私自身も依存度が高いと思います。
何が便利かと言えば、情報量が莫大すぎてどこにいても瞬時に様々な情報を受け取ることができます。
SNSなんかもとても大切な情報源。
ただし、その莫大な情報の中で取捨選択(ほとんどスルーする)して情報をキャッチする能力がなければ、大きな問題が潜んでいてるのだと思います。
下手したらその小さな問題で命を危険に晒すこともあると思っています。(とんでも療法やなんかや。。。)
情報が莫大になっている分、リテラシーを高めることが重要な時代。
メディアでは大人も子供も関係なくこの能力が求められている時代。
どうやったら高められるだろうか?と悩みながら子供に伝えています。
月の固定費も増えるのがイヤだ。。。ということが大きいのは内緒です。
写真:気密シートを張った状態と気密測定中の様子
私自身、大量の情報に浴びて依存している日々の中で、固執せずに客観的に情報を識別しようと心がけています。
特にポジショントークで展開されているものについてはかなり引いてみる癖があります。自己防衛として。
どのようなものでもメリットデメリットがあるので、一方を悪者にして一方を引き立たせる情報提供のやり方はかなり疑って見ます。
正直今回の件は住宅業界に生きる身としてあまりにもひどい内容でした。
断熱材で優劣がつかないことは、真面目な住宅事業者にとってはごく当たり前のこと。
だけど、一般の人は当然知識がないし、あまり必要ない知識であるため、初めて触れる情報でなんの疑いもない人、会社の規模で信用してしまう人にとっては大きな誤解を与えてしまいます。
考え方に賛否両論あるべきだと思いますが、間違ったロジックでの(この場合はナミダダケ問題が起きるからグラスウールを断熱材に使うのは危険。という時が止まった論争)賛否は時間の無駄です。
たまに暮らしの工房へ相談に来る方にも「グラスウールを使うとダメだと聞いたのですが、断熱材は何を使っていますか?」という質問があるのですが、もしかしてこの会社にも行かれたのかな?って今回感じました。
もちろん、質問にしっかりと答えて少数でも「そうではないんだ」と認識していただいています。
数年前にも同じことをブログにしています。
住まいを作る(新築でもリノベーションでも)ということは人生でそんなにあることではありません。
だからそこに対する必要な知識も少なくなりがちですし(学んでも今後それほど役に立つ内容ではないし)、経験ももちろん少ないです。
そこを悪用(悪気があれば一億歩譲ってまだいいけど、無意識に悪用している場合もある。その場合はほんと最悪)して営業している危ないところもあります。
悪用に関しては住宅業界だけでなく全ての業界に言えることかもしれませんが。
だからこそ、情報を受け取るリテラシーが重要です。
情報社会で生きるには情報を疑うという目が重要です。
このブログも疑いの目でみながら、個々で判断してもらえればと思います。
今回のブログで少しでもまともな住まいが増えていくことを住宅業界として望みます。
極小の会社でも住宅業界、社会環境を改善していきたいと願いながら仕事をしている身として。
この件に関してフェイスブックで上げたら、多くの優良工務店社長から同様の怒りのコメントが寄せられて激しく燃えました(笑)
そこにはグラスウールを使う会社からウレタン系の断熱材を使う会社の方まで隔たりなく。
明らかな誤情報に業界の品位に関わるとみなさん怒り心頭。
私のシェア投稿で燃えてしまって、私は傍観者となりました。そして夜な夜なあつもりで釣りをしながら冷え切るのを待ってみました。
ほんとみなさん、業界をただすために熱い方ばかり。
たくさん勉強させていただいているし、目標の皆様方です。